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任意後見契約は解除できる?途中でやめる方法と注意点

任意後見契約は解除できる?途中でやめる方法と注意点

親の将来に備えて任意後見契約を結んだものの、「やはり別の方法にしたい」「後見人を変更したい」と考えるケースはどうなるのでしょうか?任意後見契約は一度結んだら最後まで続けなければならない契約ではなく、一定の手続きを踏めば途中で解除することができます。ただし、解除の方法は契約がすでに効力を持っているかどうかで大きく異なります。ここでは、契約を途中でやめる方法と、その際の注意点を整理します。


任意後見契約の基本的なしくみ

任意後見契約は、本人が十分な判断能力を持っているうちに、将来認知症などで判断能力が低下した場合に備え、財産管理や身上監護を任せる相手をあらかじめ決めておく制度です。契約は公正証書で結ぶ必要があり、この時点ではまだ効力は発生しません。本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した時点で、初めて契約の効力が生じます。

つまり、任意後見契約には「監督人選任前」と「監督人選任後」という二つの段階があり、この段階の違いによって解除の手続きが変わります。


監督人選任前は書面の解除で足りる

任意後見監督人が選任されておらず、契約の効力がまだ発生していない段階であれば、本人または任意後見受任者は、いつでも契約を解除することができます。この場合の解除は比較的簡単で、公証人の認証を受けた書面によって解除の意思表示を行い、これを内容証明郵便で相手方に通知する必要があります。家庭裁判所の許可は不要です。

任意後見受任者、つまり将来後見人になる予定の人の側から解除することも可能です。ただし解除により本人の将来の支援体制がなくなるため、代わりの後見人を選び直すなど代替策を検討したうえで行うことが望まれます。

本人の判断能力に問題がなく、単に「後見人を別の人に変えたい」「別の制度を利用したい」といった事情であれば、この段階での解除が想定されます。


監督人選任後は家庭裁判所の許可が必要

任意後見監督人が選任され、契約の効力がすでに発生している場合は、自由に解除することはできません。この段階で契約をやめるには、本人または任意後見人が家庭裁判所に申し立てを行い、「正当な事由」があると認められて許可を得る必要があります。

正当な事由としては、任意後見人による財産の不正な使い込みなどの不正行為、病気やけがにより後見の事務を続けることが困難になったこと、本人との信頼関係が失われ、任意後見を継続することが本人の利益にならない場合などが挙げられます。家庭裁判所は、本人の利益が損なわれていないかという観点から許可の可否を判断するとされています。

なお、任意後見開始後は、本人の判断能力の低下の程度によっては、本人自身による申立てが事実上困難な場合があります。この場合の対応については、次に説明する家族による申立ての方法が関わってきます。


家族は解除を申し立てられるか

任意後見監督人選任後の解除を家庭裁判所に申し立てることができるのは、本人と任意後見人に限られます。子など四親等内の親族であっても、任意後見契約そのものの解除を直接申し立てることはできません。

ただし、家族が動ける制度は二つあります。

一つは、任意後見人の解任請求です。任意後見人に不正な行為、著しい不行跡、その他その任務に適しない事由があるときは、四親等内の親族などが家庭裁判所に任意後見人の解任を申し立てることができます。解任が認められれば、その任意後見人による後見は終了します。

もう一つは、法定後見開始の審判の申立てです。本人の判断能力が著しく低下しているにもかかわらず任意後見契約による保護では本人の利益を守るために不十分であると家庭裁判所が認める場合は、四親等内の親族の申立てにより法定後見が開始されることがあります。法定後見開始の審判がされた場合、任意後見契約による任意後見の効力は終了します。これは契約書そのものが消滅するという意味ではなく、任意後見の効力が終了するという意味です。

家族が任意後見人の財産管理や対応に疑問を持った場合は、まず任意後見監督人に相談し、事情に応じてこれらの申立てを検討することになります。


解除しないで済むよう契約の段階で備える

ここまで見てきたとおり、監督人選任後の解除には家庭裁判所の許可が必要で、簡単な手続きではありません。解除は本人にとっても負担が大きいため、そもそも解除が必要になる事態を避けることが望ましいといえます。

そのためには、契約を結ぶ段階での準備が重要です。任意後見人には、財産管理や身上監護を長期にわたって任せられる人物を選ぶ必要があります。信頼できる相手であっても、実際に後見の事務を担えるだけの時間や体制があるかどうかを確認しておくべきです。

契約の内容についても、財産管理の範囲や方法、報告の頻度などをあらかじめ具体的に定めておくと、後々の行き違いを防ぎやすくなります。任意後見監督人となる専門家や、契約作成に関わる公証人、弁護士、司法書士などに事前に相談し、本人の意向や家族の状況を踏まえた内容にしておくことが望まれます。

家族の間でも、誰が任意後見人になるのか、どのような支援を想定しているのかを契約前に話し合っておくことで、後になって「知らない間に契約していた」といった不安や、解除をめぐるトラブルを防ぐことにつながります。


解除した後はどうなるか

任意後見契約の解除後、すでに本人の判断能力が低下している場合には、財産管理や身上監護を担う人がいなくなる可能性があります。この場合、法定後見制度への切り替えが必要です。法定後見は家庭裁判所が後見人を選任する制度であり、任意後見契約とは異なり、本人や親族が後見人を自由に選ぶことはできません。

解除を検討する際は、解除した後の生活や財産管理をどう続けるかを合わせて考えておく必要があります。


まとめ

任意後見契約は、途中で解除することができる契約です。監督人選任前であれば公証人の認証を受けた書面と内容証明郵便による通知で解除でき、監督人選任後は家庭裁判所の許可を得て初めて解除できます。段階によって必要な手続きが異なるため、現在の契約がどちらの段階にあるかをまず確認することが重要です。

任意後見契約は、一度結んだからといって変更できないものではありません。ただし、契約が開始しているかどうかによって必要な手続きは大きく異なります。親御さんの任意後見契約について不安がある場合は、現在どの段階にあるのかを確認したうえで、解除だけでなく今後の支援方法まで含めて検討することが大切です。

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