「これ、自分でできますよね?」
相続登記の相談を受けていると、よくこう聞かれます。
答えは「できます」です。
本人が申請しても構いませんし、書類さえ揃えば法務局は受け付けてくれます。
ただ、2024年4月から、相続登記は義務になりました。
不動産を相続したと知った日から3年以内に登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。
「そのうちやろう」が通用しなくなった、ということです。
だからこそ、「自分でやるか、頼むか」を一度きちんと考えてみる価値があります。
「できる」と「終わらせられる」は別の話
自分でできることと、自分で最後までやり切れることは、実は別物です。
車のオイル交換もエアコンの取り付けも、やろうと思えば自分でできます。
でも「できるからやる」とはならない人のほうが多いはずです。
相続登記も同じ構造を持っています。
厄介なのは、最初に見えていた作業と、最後に必要になる作業が、途中で変わることがあるという点です。
「父の家の名義変更」のはずが、祖父の代まで遡った話
ある相談者は、こう考えて事務所に来ました。
「父が亡くなったので、自宅の名義を母に変えたい」
話としては単純です。
ところが登記簿を確認すると、名義人は父ではなく祖父のままでした。
祖父の相続がそもそも終わっていなかったのです。
戸籍を遡ると、祖父の相続人は当初3人。
しかしそのうち2人がすでに亡くなっており、それぞれの子どもたち、つまり相談者からすれば会ったこともない従兄弟にあたる人たちが、新たに相続人として加わりました。
最終的に、相続人は8人になりました。
「父の家の名義を変える」だけのつもりが、面識のない親戚8人との遺産分割協議が必要な案件に変わったわけです。
こうしたケースは、決して珍しいものではありません。
古い不動産ほど、こういう構造を抱えていることがあります。
戸籍は「集める」より「読む」ほうが難しい
相続では戸籍を集めます。
ここまではご存じの方も多いでしょう。
問題は、戸籍を見て「相続人はこの人たちで全員か」を確定させる作業です。
前婚の子ども、認知した子ども、養子。
戸籍のどこかに、想定していなかった名前が一行だけ載っていることがあります。
その一行を見落とすと、遺産分割協議そのものが無効になりかねません。
つまり作業として重いのは、紙を集めることではなく、その紙から何を読み取るかのほうなのです。

お金を払っているのは、紙代ではない
司法書士に依頼すると、戸籍の収集、相続人の確定、登記簿の確認、書類作成、申請まで一通り任せられます。
ただ、依頼した人が実際に得ているのは、書類そのものではありません。
「これで大丈夫」と思える状態です。
自分で手続きを進めると、書類を集めるたびに小さな疑問が湧いてきます。
「この戸籍で足りているのか」「この人も相続人になるのか」「この協議書の書き方でいいのか」。
一つひとつは小さくても、積み重なると相当な負担になります。
しかも一箇所間違えると、法務局から補正を求められ、また最初からやり直しということもあります。
司法書士への報酬は、その「これでいいのかな」を、自分ひとりで抱えずに済ませるための対価だと考えると、見え方が変わってくるはずです。
自分でやってもいいケース、頼んだほうがいいケース
相続人が配偶者と子ども2人で、不動産は自宅だけ、遺産分割の内容も決まっている。
登記簿を見ても特に問題がない。
このくらいシンプルな案件であれば、自分で申請することも十分現実的です。
一方で、
・相続人が誰なのか、そもそも自信が持てない ・名義が祖父や曾祖父の代のまま止まっている ・数次相続が発生していそうな気配がある ・戸籍を集めたが、これで全部なのか判断できない
という状況になると、「自分でできるか」ではなく「自分の判断に責任を持てるか」という話に変わってきます。
ここまで来たら、専門家に確認してもらったほうが、結果的に早く終わることが多いです。
司法書士の仕事は、目立たないほうがいい
司法書士の仕事は地味です。
最後に登記簿の名前が変わっているだけで、依頼した人からすれば「特に何も起きなかった」という感想になりがちです。
でも、それでいいのです。
戸籍を間違えず、相続人を漏らさず、書類を一度で通す。
何事もなく終わることこそが、司法書士の仕事の成果です。
「自分でもできるけれど、今回は任せよう」
その選択は、大げさなものではありません。
自分の時間を使って調べるか、専門家にその不安ごと預けるか。
相続登記が義務化された今こそ、一度立ち止まって考えてみてほしいところです。
高砂市・加古川市で相続や不動産の登記をお考えなら
相続登記だけでなく、
- 親から不動産を贈与したい
- 不動産を売買することになった
- 住宅ローンを完済したので抵当権を抹消したい
- 昔の名義のままになっている不動産がある
など、登記が必要になる場面はさまざまです。
高砂市・加古川市で登記についてご相談されたい方は、後藤司法書士事務所までお問い合わせください。
「自分でやるか、司法書士に頼むか迷っている」という段階でも構いません。
現在の状況をお聞きしたうえで、必要な手続きと、専門家に任せたほうがよい部分を整理してご説明します。
自分でやることもできる。
でも、安心して任せたい。
そんなときに、司法書士を使っていただければと思います。