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夫婦で同じ内容の遺言書を作っても大丈夫?

夫婦で同じ内容の遺言書を作っても大丈夫?

「夫婦で同じように遺言書を作っておきたいんです」

相続の相談で、こう話される方がいました。

「財産は、夫が先に亡くなったら妻へ、妻が先に亡くなったら夫へ残したい」

お互いに全財産を相続させる遺言を、それぞれ作っておく。一見、これで話は完結しているように見えます。

しかし、実はここで終わりではありません。「お互いに遺言を書き合えば安心」と思っていると、見落としがちな部分があります。


そもそも、夫婦で1通の遺言書は作れない

細かい点ですが、先に触れておきます。

法律では、二人以上の人が同じ一枚の証書で遺言をすること(共同遺言といいます)が禁止されています。

そのため、夫婦であっても、2人の名前を1枚の紙に並べて遺言を作ることはできません。夫は夫の遺言書、妻は妻の遺言書として、それぞれ別々に作成する必要があります。

内容をそろえること自体は問題ありませんし、同じ日に作成することもできますが、遺言書という書類そのものは、あくまで一人ひとり別のものです。


「お互いに残す」だけでは、想定外の順番に対応できない

夫の遺言が「妻に全財産を相続させる」となっていたとしても、妻が夫より先に亡くなっていたら、その部分の遺言は効力を生じません。

「夫が先に亡くなる」という前提で作った遺言は、実際の順番が逆になった瞬間、意味を持たなくなってしまいます。

なお、交通事故などで夫婦のどちらが先に亡くなったか分からない場合、法律上「同時に死亡した」と扱われることがあります。この場合も、遺言による相続はやはり成立しません。

いずれにしても、「先に死ぬのは自分ではないはず」という前提だけで遺言を作ると、その前提が崩れたときに、遺言そのものが空振りに終わることがあります。


「妻が財産を受け取った後」は、夫の遺言の力が及ばない

もう一つ、見落とされがちなのがここです。

夫の遺言で決められるのは、あくまで夫自身の財産の行き先までです。

夫の遺言によって妻が財産を取得した後、その財産は妻自身の財産になります。その後、妻が亡くなったときにその財産が誰に渡るのかは、夫の遺言ではなく、妻自身の遺言や、妻の相続人によって決まります。

つまり、「夫が亡くなった後、妻が亡くなったらどうするか」まで、夫の遺言であらかじめ決めておくことはできません。

その部分を望むのであれば、妻自身も、自分が最後に残った場合にどうするかを考えて、自分の遺言を作っておく必要があります。


子どもがいない夫婦は、特に注意が必要

このことが特に重要になるのが、子どものいない夫婦です。

夫が先に亡くなり、遺言によって妻がすべての財産を取得したとします。

その後、妻が遺言を残さないまま亡くなった場合、妻の財産は法律で決まった妻側の相続人、たとえば妻の親やきょうだいに渡ることになります。

夫の側からすれば、「自分の財産は最終的に妻の実家に渡ってしまった」という結果になることもあります。

これは、夫婦それぞれの遺言に不備があったわけではなく、そもそも夫の遺言では妻の死後の財産の行き先までは決められない、という制度上の話です。

子どもがいない夫婦で、「最終的には自分の血縁にも財産を残したい」という希望があるなら、残された側になったときにどうするかまで、それぞれが自分の遺言の中で考えておく必要があります。


子どもがいる夫婦は、遺留分にも注意

遺言を作れば、財産を誰にでも自由に渡せるというわけではありません。

夫が亡くなった場合に子どもがいるケースでは、妻だけに財産を残す内容の遺言を作ると、子どもの遺留分が問題になることがあります。

「夫婦で財産を残し合いたい」という希望だけで内容を決めるのではなく、子どもなど他の相続人との関係も含めて考えることが必要です。

特に自宅の価値が高く、預貯金などのほかの財産が少ない場合には、遺言の内容によっては相続後に家族間で問題が生じる可能性があります。


自宅が夫婦共有なら、さらに確認が必要

夫婦で遺言を考えるときには、財産の名義も確認しておきましょう。

自宅が夫婦の共有名義になっている場合、夫が亡くなったときに相続の対象になるのは夫が所有している持分です。

「自宅を妻に残したい」と考えていても、夫婦それぞれの所有関係を確認しなければ、具体的な遺言の内容を決めにくいことがあります。

不動産については、登記事項証明書などで現在の名義や持分を確認したうえで考えることが大切です。


夫婦で遺言を作るなら、それぞれの遺言を一緒に考える

夫が先に亡くなったらどうするか、妻が先に亡くなったらどうするか、残された配偶者がその後亡くなったらどうするか、子どもなど他の相続人との関係をどうするか、自宅などの不動産を誰に残すか。

ここまでの内容を、夫婦で一緒に考えておくことが大切です。

「お互いに全財産を残す」という内容をそろえるだけでは、想定外の順番や、その後の財産の行き先までは対応できません。


高砂市・加古川市で夫婦の遺言について相談したい方へ

「夫婦で遺言を作りたいけれど、どのような内容にすればよいのか分からない」

「自宅は配偶者に残したいけれど、子どものことも考えておきたい」

「子どもがいないので、自分の財産が最終的にどうなるのか心配」

このような場合は、現在の家族構成や財産の内容を確認しながら、夫婦それぞれの遺言を一緒に考えることが大切です。

後藤司法書士事務所では、高砂市・加古川市を中心に、遺言書作成についてのご相談をお受けしています。

「まだ遺言を作るか決めていない」という段階でも構いません。

ご夫婦の財産や家族関係をお伺いしながら、どのような遺言が必要なのかを一緒に考えていきます。

夫婦で遺言を作ろうと考えている方は、まずはお気軽にご相談ください。

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