「相続した土地を売ろうと思って不動産会社に相談したら、買い手が見つかりにくいと言われました」
相続の相談で、こう話される方がいました。
相続したのは、実家から少し離れた場所にある山あいの土地で、亡くなった父親が家庭菜園代わりに使っていた場所だったそうです。
「田舎の土地だから安くても仕方ないと思っていたのに、値段の話にすらならなかった」
相続した不動産なら、売れば現金にできると思っていたのに、実際にはなかなか売れない。
そんな土地があります。
長年使っていない土地や、親世代から受け継いだ山林・農地、住宅地の中にある細長い土地などは、買い手を見つけるのが難しいことがあります。
「誰も使わない土地なら、持っていても仕方がない」
そう思ってしまうかもしれません。
しかし、売れない土地でも、なぜ売れないのかによって取れる方法は変わります。
まずは、その土地が売却しにくい理由を確認することから始めましょう。
「売れない土地」には、それぞれ理由がある
土地が売れない理由は、一つではありません。
駅から遠く住宅需要が少ない土地。
道路との接し方に問題がある土地。
境界がはっきりしていない土地。
農地や山林など、利用方法が限られている土地。
市街化調整区域にあるなど、建物を建てる際に一定の制限がある土地。
このように、土地の場所だけではなく、その土地をどのように利用できるのかが売却しやすさに大きく関係します。
「田舎だから売れない」と思っていても、隣の土地を所有している人にとっては価値があるかもしれません。
逆に、駅から近い土地でも、道路や権利関係に問題があれば簡単には売れないことがあります。
まず確認したいのが「道路」と「境界」
売却を考えるとき、特に重要なのが道路と境界です。
土地が道路に接していても、その道路が建築基準法上の道路に該当するとは限りません。
道路との接し方によっては、現在の建物を建て替えることが難しい場合もあります。
境界についても同じです。
昔から家族が使ってきた土地でも、隣の土地との境界が明確になっているとは限りません。
冒頭の相談者の土地も、山の斜面に沿った境界が曖昧なままで、まず測量からという話になりました。
売却する際に境界の確認や測量が必要になれば、そのための費用や時間も考えなければなりません。
「土地の面積と場所が分かれば売れる」と考えるのではなく、その土地がどのような条件の土地なのかを確認することが重要です。

農地や山林は、普通の宅地とは事情が違う
相続した土地が農地や山林の場合には、さらに注意が必要です。
農地の場合、農地法による許可・届出が必要になることがあり、一般の宅地と同じように自由に売買できるわけではありません。
そのため、買い手が見つかったとしても、すぐに引き渡せるとは限りません。
一方、山林については、農地のように法律上売れないわけではありません。
場所や広さ、利用目的などによって買い手が限られるだけで、法的な制限があるわけではないことがほとんどです。
日常的に利用する予定がない山林などは、一般の住宅用地とは違い、買い手を探すこと自体が難しい場合があります。
相続した土地の地目が「田」「畑」「山林」などになっている場合には、まずその土地にどのような法的な制限があるのか確認しておきましょう。
「売れない」と言われても、売却先を変える方法がある
一般の不動産市場で買い手が見つからない場合でも、売却先を変えることで可能性が出てくることがあります。
たとえば、隣接する土地の所有者です。
隣の土地を広げたい人にとっては、周囲から見れば価値の低い土地でも、利用価値がある場合があります。
土地の状況によっては、建物を建てる人ではなく、資材置場や駐車場など別の用途で利用したい人がいるかもしれません。
もちろん、実際にそのような需要があるかは土地ごとに異なります。
冒頭の相談者の土地も、家庭菜園として使っていた経緯から、実は隣接する畑の持ち主が以前から関心を示していたことが分かり、そこから話が進みました。
「売れない」と一度言われたから終わりではなく、その土地を利用できる人が誰なのかを考えることが大切です。
売却以外の方法も検討する
どうしても売却が難しい土地については、売る以外の方法を考えることもあります。
隣接する土地の所有者への譲渡や、一定の条件のもとでの寄附などです。
ただし、自治体などが土地を無条件で引き取ってくれるわけではありません。
「いらない土地だから、市役所に持っていけばいい」という考え方はできません。
また、相続した土地については、一定の要件を満たせば相続土地国庫帰属制度を利用できる場合があります。
ただし、この制度にも対象となる土地の要件や負担金があり、誰でも無条件に使えるわけではありません。
制度そのものについては、別の記事で詳しく説明しています。
相続した土地を放置しない
「売れないなら、とりあえずそのままにしておこう」
そう考える方もいるかもしれません。
しかし、土地を所有している限り、固定資産税などの負担が続きます。
土地の状態によっては、草木が伸びて周囲に迷惑をかけることもあります。
遠方に住んでいる場合には、管理のために定期的に現地へ行くこと自体が負担になるでしょう。
さらに、土地の問題を放置している間に、次の相続が発生すれば、次の世代がその土地を引き継ぐことになります。
「自分の代で何とかしておきたい」と考えるなら、売却できるかどうかだけでなく、将来にわたって所有し続けることができる土地なのかという視点も必要です。

売れない理由が分かれば、次の方法が見えてくる
相続した土地が売れないときに大切なのは、最初から「処分できない土地」と決めつけないことです。
道路に問題はないか、境界は明確か、農地や山林などの規制はないか、どのような利用ができる土地なのか、隣地所有者にとって価値がないか。
こうした点を確認します。
そのうえで、不動産会社に売却可能性を確認し、必要であれば売却先や利用方法を変えて考えます。
それでも難しい場合には、売却以外の方法を検討します。
冒頭の相談者も、境界を確定させたうえで、まず隣接地の所有者に話を持ちかけるところから動き出しました。
「売れない」という結果だけを見るのではなく、「なぜ売れないのか」を確認することが、次の選択肢につながります。
まとめ|相続した土地が売れないときは、理由を確認する
冒頭の相談者も、最初は「田舎の土地だから仕方ない」と諦めかけていました。
しかし、境界を確定させ、隣接地の所有者に話を持ちかけたことで、当初は見えていなかった選択肢が出てきました。
「売れない」という言葉だけを受け取って終わるのではなく、原因を一つずつ確認していけば、状況は変わることがあります。
なお、売却を進めるうえでは、権利関係の整理が前提になる場面が少なくありません。
相続登記が済んでいなければ、そもそも売却の手続きに進めませんし、相続人が複数いて共有名義になっている場合には、全員の同意や手続きへの関与が必要になります。
境界確定のために古い測量図や権利証を探す必要が出てくることもあります。
こうした、売却の前段階にある名義や書類の整理については、司法書士に相談することができます。
また、売れにくい土地であっても、こうした土地の扱いを得意とする不動産会社や買取業者があります。
必要に応じて、そうした専門の業者をご紹介することも可能です。
高砂市・加古川市で相続した土地についてお困りの方は、後藤司法書士事務所までご相談ください。