「相続した実家を売りたいけれど、不動産会社に相談しても、なかなか買い手が見つからない」
相続の相談で、こう話される方がいました。
高砂市内にある実家は、昭和の時代に建てられた古い木造住宅で、駅からも少し距離があります。
近くの不動産会社に相談したものの、「今のところ、この条件だとお時間がかかるかもしれません」と言われてしまったそうです。
そんなとき、選択肢の一つになるのが空き家バンクです。
「相続した空き家でも登録できるの?」「高砂市や加古川市にもあるの?」「登録したら、市が売ってくれるの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
実は、高砂市にも加古川市にも空き家バンクがあります。
相続した実家が空き家になっていて、今後住む予定もないのであれば、売却や賃貸を考える際に知っておきたい制度です。
※この記事は2026年8月現在の情報をもとに作成しています。制度の内容や登録物件数などは変更される場合があります。
空き家バンクとは
空き家バンクは、空き家を「売りたい」「貸したい」という所有者と、「買いたい」「借りたい」という人をつなぐため、自治体などが物件情報を提供する制度です。
通常の不動産売却では、不動産会社に依頼して買い手を探します。
一方、空き家バンクでは、自治体のホームページなどに物件情報を掲載することで、空き家を探している人に情報を届けます。
古い家を購入して自分で改修したい人、地方への移住を考えている人、空き家を店舗などに利用したい人、広い土地付きの古い家を探している人。
こうした、一般的な住宅としては売りにくい空き家でも、違う需要につながることがあります。
高砂市には「高砂市空き家バンク」がある
高砂市では、高砂市空き家バンクを設けています。
高砂市内の空き家や空き店舗について、売却・賃貸を希望する所有者から登録を受け、空き家の有効活用や地域への定住などにつなげる制度です。
2026年8月現在、高砂市の空き家バンクには13件の登録物件があり、これまでの延べ成約件数は39件です。
実際に登録されている物件には、昭和30年代から40年代に建てられた住宅もあります。
冒頭のケースのような昭和築の住宅も、実際にいくつも登録されています。
「古い家だから、空き家バンクには向いていない」と最初から考える必要はありません。
ただし、登録には一定の条件があります。
高砂市内に相続した実家がある場合は、登録できる物件なのか、市の制度を確認してみましょう。
加古川市にも「加古川市空き家バンク」がある
高砂市だけではありません。
加古川市にも空き家バンクがあります。
加古川市空き家バンクは、市内の空き家等について、売却・賃貸を希望する所有者の物件情報を登録し、空き家を探している人に情報を提供する制度です。
令和8年7月7日現在、加古川市の空き家バンクには10件の物件が登録されており、これまでの登録からは23件が成約に至っています。
加古川市でも、昭和初期から昭和40年代に建てられた住宅が実際に登録されています。
なお、空き家バンクに登録された物件に農地が付随している場合には、その農地を取得するために農地法上の許可が必要になることもあります。
「築年数が古いから売却は難しいかもしれない」「普通の不動産会社では買い手が見つからない」という場合でも、空き家バンクを通じて別の購入希望者に情報を届けられる可能性があります。
加古川市内に相続した空き家がある方は、通常の不動産売却とあわせて確認してみるとよいでしょう。

空き家バンクに登録したら、市が買い取ってくれる?
ここは勘違いしやすいところです。
空き家バンクは、市が空き家を買い取ってくれる制度ではありません。
高砂市の空き家バンクも、空き家の情報を提供するための制度であり、売買・賃貸借の交渉や契約そのものを市が行うものではありません。
加古川市についても、市が物件情報を提供する一方、売買や賃貸借の契約については宅地建物取引業者による仲介などを利用する仕組みになっています。
「市役所に空き家を持っていけば、市が引き取ってくれる」という制度ではありません。
空き家を探している人に、物件を知ってもらうための仕組みと考えると分かりやすいでしょう。
空き家バンクに登録すれば必ず売れるわけではない
空き家バンクは便利な制度ですが、登録したからといって必ず売却できるわけではありません。
場所、価格、建物の状態、土地の広さ、道路との関係などによって、買い手が見つかるまでの期間は変わります。
買い手が見つかった場合でも、修繕や残置物の処分などが必要になることがあります。
「空き家バンクに登録したから、あとは待っていればいい」というものではなく、登録前に、建物の状態や売却希望価格、修繕の必要性などを整理しておくことが大切です。
相続した空き家なら、登録前に「名義」を確認する
相続した空き家について空き家バンクの利用を考える場合、忘れてはいけないのが不動産の名義です。
亡くなった親の名義のまま、祖父母など何代も前の名義になっている、兄弟姉妹など複数の相続人が共有している、遺産分割協議がまだ終わっていない。
こうしたケースがあります。
「自分が相続人だから、自分だけで売却できる」とは限りません。
特に、相続人が複数いる場合には、誰が不動産を取得するのかを整理する必要があります。
相続登記が済んでいない場合には、空き家バンクの利用を検討すると同時に、相続登記についても確認しておきましょう。
相続登記が済んでいない場合はどうする
たとえば、親が亡くなって実家を相続したものの、登記名義は親のままになっているケースです。
この場合、相続人を確認し、誰がその不動産を取得するのかを整理したうえで、相続登記を行うことになります。
さらに、相続から長期間経過している場合には、相続人の中にさらに相続が発生していることもあります。
そうなると、現在の相続人を確認するだけでも時間がかかることがあります。
「空き家バンクに登録したい」という相談から、相続登記や相続関係の整理が必要であることが分かるケースもあります。
空き家の売却を考えているのであれば、早めに名義を確認しておくとよいでしょう。
高砂市・加古川市の空き家バンクだけを見て決める必要はない
高砂市や加古川市の空き家バンクを利用する場合でも、最初から「空き家バンクで売る」と決める必要はありません。
通常の不動産会社による売却と比較して、どちらの方が買い手を見つけやすいか、どちらの方法なら希望する条件で売れそうかを考えることが大切です。
売却ではなく賃貸という方法が適している場合もあります。
空き家バンクへの登録、通常の不動産売却、賃貸、解体して土地として売却する方法など、複数の選択肢を比較して決めればよいのです。
遠方の空き家でも、相談できる
相続した空き家が高砂市や加古川市にあるとは限りません。
実家は岡山県にある、親の家が大阪にある、相続した家が遠方にあって何度も現地へ行くのが難しい、という方もいます。
空き家が遠方にあっても、相続関係の確認や相続登記、所有者の整理など、司法書士が対応できる手続きがあります。
空き家バンクについても、空き家が所在する自治体の制度を確認しながら、必要な書類や相続関係を整理していくことができます。
高砂市・加古川市以外の地域にある空き家についても、相続登記や所有者の整理、空き家バンクなどの制度利用に関するサポートが可能です。
遠方にあるからといって、最初から何度も現地へ足を運ばなければならないとは限りません。

空き家バンクを利用する前に確認したいこと
相続した空き家について空き家バンクの利用を考えたら、まず次の点を確認してみましょう。
登記事項証明書を取得して、現在の所有者を確認する。
亡くなった方の名義のままであれば、相続登記が必要になる可能性があるため、済んでいるか確認する。
相続人が複数いる場合には、売却や賃貸について相続人の間で話がまとまっているか確認する。
雨漏りや老朽化だけでなく、道路や境界などに問題がないか確認する。
そして、売却と賃貸のどちらを希望するかも決めておきます。
高砂市・加古川市の空き家バンクでは、売却だけでなく賃貸を希望する物件も扱われています。
「売れない」と諦める前に、空き家バンクを確認する
相続した実家が古く、不動産会社に相談しても買い手が見つからない。
そんなときでも、すぐに「もう売れない」と決める必要はありません。
高砂市なら高砂市空き家バンク、加古川市なら加古川市空き家バンクという選択肢があります。
冒頭の相談者も、不動産会社での査定と並行して、高砂市空き家バンクへの登録を検討することになりました。
空き家を探している人の中には、古い家を購入して改修したい人や、移住先を探している人などもいます。
もちろん、空き家バンクに登録したからといって、必ず売れるわけではありません。
それでも、通常の不動産売却とは違う形で、空き家を必要としている人に情報を届けられる可能性があります。
相続した空き家をどうするか考えているのであれば、空き家バンクを含めて、自分の不動産に合った方法を探してみることが大切です。
まとめ|相続した空き家を売るなら、空き家バンクも選択肢
相続した空き家を売却したい場合、一般の不動産会社に相談する方法だけではありません。
高砂市には高砂市空き家バンクがあり、加古川市にも加古川市空き家バンクがあります。
空き家を売りたい、または貸したいという所有者と、空き家を購入・利用したい人をつなぐための制度です。
ただし、市が空き家を買い取ってくれる制度ではありません。
また、相続した空き家の場合には、空き家バンクへの登録を考える前に、相続登記が済んでいるか、誰が所有者なのか、相続人の間で話がまとまっているかなどを確認しておくことが大切です。
高砂市・加古川市で相続した空き家をお持ちの方は、空き家バンクだけでなく、通常の売却や賃貸、解体なども含めて、その不動産に合った方法を考えてみましょう。
空き家が高砂市・加古川市以外の地域にある場合でも、相続登記や相続関係の整理、空き家バンクなどの制度利用についてサポートできます。
遠方にある親の家や、相続したまま名義変更できていない実家についても、まずは現在の名義や相続関係を確認するところからご相談ください。
高砂市・加古川市で相続した空き家や土地についてお困りの方は、後藤司法書士事務所までご相談ください。