「甥の住所は分かって、手紙も送ったんですが、やっぱり返事がないんです」
相談に来られたのは、父親の代襲相続人にあたる甥と、何十年も連絡を取っていなかった方でした。
戸籍や戸籍の附票をたどって、甥の現在の住所を確認し、相続の事情を書いた手紙を送った。
ところが、しばらく待っても返事がない。
一定期間を置いてもう一度送っても、やはり返事がない。
「このまま相続の手続きが進まないのでは」
不安になったこの方が次に考えたのが、司法書士への相談でした。
この段階で司法書士に相談すると、何をしてもらえるのでしょうか。
手紙を送ったのに返事がない場合も、司法書士に相談できます
相続人の住所を確認して手紙を送るところまで自分で済ませていても、司法書士に相談することはできます。
この段階で大切なのは、これまでの経緯を整理して、次に何をするのかを考えることです。
どのような手紙を送ったのか、いつ送ったのか、手紙は返送されていないのか、相手から何か反応があったのか。
冒頭の相談者の場合、2回とも手紙は戻ってきておらず、甥の住所には届いている可能性が高い状態でした。
こうした事情を確認したうえで、今後の相続手続きを考えていきます。
司法書士が、相続人に連絡するための書面を作成することもできる
相続人本人から何度も手紙を送ることに抵抗がある場合もあります。
「これ以上、自分から連絡するのは気が重い」「親族同士だと感情的になってしまいそう」というケースです。
このような場合、司法書士に依頼して、相続手続きについて相手方に伝えるための書面を作成することができます。
相続人本人からの手紙とは違い、司法書士から相続手続きに関する連絡が届くことで、手続きに必要な連絡であることが伝わりやすくなる場合もあります。
ただし、司法書士が相手方と遺産の分け方について交渉することとは別の話です。
冒頭の相談者も、まずはこの書面を送ってみることになりました。
相続人から返事があった後の手続きも依頼できる
手紙をきっかけに相続人から返事があり、遺産の分け方について話し合いができるようになれば、その後の相続手続きを進めることができます。
相続人全員で遺産の分け方について合意できた場合には、その内容に基づいて遺産分割協議書を作成することができます。
不動産が含まれている場合には、その遺産分割協議書を使って相続登記を進めます。
つまり、司法書士への依頼は「相続人への連絡」だけで終わるわけではありません。
相続人から返事があり、話し合いがまとまった後の書類作成や相続登記まで、続けて依頼することができます。
司法書士が相続人の代わりに交渉できるわけではない
ここは注意が必要です。
司法書士に相続手続きを依頼したからといって、司法書士が依頼者に代わって、相続人と遺産の分け方を交渉できるわけではありません。
「この不動産は私が取得するので、代わりに預金を◯万円渡します」「あなたは財産を取得しないでください」といった具体的な条件について、相手方と代理で交渉することは司法書士の業務ではありません。
相続人同士で遺産の分け方について対立しており、代理人として交渉してほしいという場合には、弁護士への相談が必要になります。

話し合いができない場合は、遺産分割調停という方法もある
手紙を送っても返事がない、司法書士から書面を送っても話し合いに応じない。
このように、相続人同士で遺産分割について話し合うことができない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停という方法があります。
遺産分割調停は、弁護士に依頼しなければ申し立てられないわけではなく、相続人本人が自分で家庭裁判所に申し立てることもできます。
一方で、申立書などの裁判所に提出する書類の作成や、戸籍など必要な書類の収集について、司法書士に依頼することもできます。
ただし、司法書士が本人に代わって調停期日に出席し、相手方と交渉することはできません。
調停での代理対応を依頼したい場合には、弁護士に依頼することになります。
「司法書士に頼んでも、途中で手を離されるのでは?」と思っている方へ
相続人と連絡が取れないと、「司法書士に相談しても、調停になったら終わりなのでは」と思われるかもしれません。
しかし、そうとは限りません。
司法書士が対応できる範囲と、弁護士に依頼する必要がある範囲は分かれています。
司法書士には、相続関係やこれまでの手続きの整理、相続人への連絡に関する書面の作成、戸籍など必要書類の収集、相続人全員の合意後の遺産分割協議書の作成、不動産の相続登記、家庭裁判所に提出する書類の作成などを依頼できます。
一方で、相手方との代理交渉や、調停期日に代理人として出席することは弁護士の業務になります。
最初から「司法書士か弁護士か」を自分だけで決める必要はありません。
現在どこまで進んでいるのかを相談し、その段階で必要な専門家を判断する方法もあります。
手紙を送っても返事がない段階から相談できます
自分で相続人を調べて、住所も確認した。
手紙も送った。
それでも返事がない。
冒頭の相談者もまさにこの状態でしたが、「もう少し待つしかない」と考えるのではなく、司法書士から書面を送るという次の一手を選びました。
相続人全員で話し合いができない状態が続くのであれば、今後どのように進めるのかを考える必要があります。
司法書士が対応できる部分については司法書士に依頼し、代理交渉など弁護士による対応が必要になれば、その段階で弁護士に相談する。
大切なのは、相続人と連絡が取れないからといって、すべての相続手続きが止まるわけではないということです。
高砂市・加古川市で、疎遠な相続人に手紙を送ったけれど返事がない、相続人との連絡が進まない、司法書士にどこまで依頼できるのか知りたいという場合には、後藤司法書士事務所へご相談ください。
これまでの相続人調査や連絡の経緯を確認したうえで、司法書士が対応できることと、弁護士への依頼が必要になることを整理し、今後の相続手続きをご案内します。