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親が保証人だったらどうなる?相続人にも支払い義務はある?

親が保証人だったらどうなる?相続人にも支払い義務はある?

「うちの親は大した財産もないけど借金だけはないから大丈夫」——相続の場面でよく聞く言葉です。しかし、借金がなくても油断できないものがあります。それが「保証人」としての契約です。

保証人は、主債務者(お金を借りた本人)の返済が順調な間は、何の通知も来ません。督促も請求もない状態が何年も続くため、保証人になった本人でさえその存在を忘れてしまい、家族に話さないまま日々が過ぎていきます。そして親が亡くなったあと、あるいはさらに数年経ってから、主債務者の返済が滞ったタイミングで初めて、相続人のもとへ突然請求が届く――こうしたケースが実際に起きています。本記事では、なぜこの「見えない負債」に家族が気づきにくいのか、どこを調べればわかるのか、そして気づいたときにどう対処すべきかを解説します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の事情については弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。


保証人の地位も相続されます

預貯金や不動産といったプラスの財産と同じように、借金や未払金といったマイナスの財産も相続の対象です。保証人としての支払い義務(保証債務)もこのマイナスの財産に含まれ、相続人が複数いる場合は法定相続分に応じて分割されます(子ども3人だけなら1人3分の1ずつ、配偶者と子ども2人なら配偶者2分の1・子どもは各4分の1、といった具合です)。

ここで注意したいのは、遺産分割協議で「保証債務は長男がすべて引き継ぐ」と相続人同士で取り決めても、それはあくまで身内間の合意にすぎないという点です。債権者(お金を貸した側)はこの合意に縛られないため、他の相続人に対しても法定相続分に応じた請求を行うことができます。相続人間で負担者を決めた場合は、後で相続人同士が精算するにとどまり、債権者への対抗力は持たないことを理解しておく必要があります(ただし、債権者が同意してその取り決めどおりの債務引受を認めた場合は別です)。


なぜ家族は保証人になっていたことに気づかないのか

保証契約が見過ごされやすいのには、いくつか理由があります。

保証した時点では何も問題が起きていないことが最大の理由です。友人や知人、あるいは自分の会社のために保証人になったとしても、その時点で滞納や返済不能が起きていなければ、家族に話すきっかけ自体がありません。「迷惑をかけたくない」「心配させたくない」という気持ちから、あえて黙っている方も少なくありません。

また、保証契約書は本人しか保管場所を知らないことが多く、通帳のように定期的に目にするものでもないため、遺品整理の中でも見落とされがちです。

特に注意したいのが、会社を経営していた・していた時期がある方です。中小企業では、金融機関から事業資金を借りる際に、社長個人が連帯保証人になっているケースが少なくありません。「会社の借金だから家族には関係ない」と思われがちですが、実際には社長個人が保証人になっているため、会社の経営が傾いたり、会社が倒産したりしたときに、初めて相続人へ請求が及ぶことがあります。しかも会社の帳簿と個人の財産は家族の目から見て切り分けられていないことが多く、遺品整理の段階でこの保証契約の存在に気づくのはさらに難しくなります。


保証の重さは種類によって異なる

保証には主に次の3つのタイプがあり、相続人が負う責任の重さが変わってきます。

  • 連帯保証:通常の保証人と違い、「まず本人に請求してください」という主張ができません。本人にまだ支払う余力があっても、相続人がいきなり全額請求される可能性があります。
  • 根保証:アパートの連帯保証人や会社の借入れのように、今後発生する複数の支払いをまとめて保証する契約です。地位は相続されますが、親が亡くなった後に新たに発生した分までは背負わずに済む仕組みになっています。
  • 身元保証:就職時の身元保証は本人の信頼関係に基づくものとされ、地位そのものは原則相続されません。ただし、亡くなる前にすでに発生していた損害賠償債務は相続の対象になります。

どこを調べればわかるのか

保証契約の有無を確認するには、次のような資料を手がかりにします。

  • 銀行など金融機関からの郵便物:見慣れない金融機関名や「保証」「連帯保証」の文字がある通知は要チェックです
  • 保証委託契約書:信用保証協会などを通じた保証では、この書類が保証の証拠になります
  • 法人の借入資料・決算書類:会社経営に関わっていた場合、法人の借入れに個人保証がついていないか確認します
  • 古い金銭消費貸借契約書:知人・親族間の借入れの保証人になっているケースもあります
  • 信用情報機関への開示請求:CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターに開示請求をすると、被相続人名義の債務状況がある程度わかります。ただし、これらに登録されるのは主に金融機関からの借入れに関する情報であり、個人間の保証契約や一部の保証委託契約までは網羅されていません。開示結果だけで「保証は何もなかった」と判断せず、他の資料とあわせて確認することが大切です。

これらを一つずつ確認していくことが、「見えない負債」を発見する一番確実な方法です。


保証人だったとわかったら、相続放棄も選択肢に

保証債務が見つかった場合、多くの方が気になるのは「相続放棄をした方がいいのか」という点でしょう。

相続には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの方法があります。保証債務の金額が大きく、他の財産で賄いきれないと判断される場合は、家庭裁判所に申述して相続放棄や限定承認を選ぶことができます。

  • 単純承認:プラスの財産もマイナスの財産(保証債務を含む)もすべてそのまま相続する。何も手続きをしなければ自動的にこの単純承認をしたとみなされます
  • 相続放棄:プラスの財産もマイナスの財産も含めて一切相続しない
  • 限定承認:相続財産の範囲内でのみ債務を負担する(相続人全員の合意が必要)

これらの手続きには、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」という期限があります。ここで注意したいのは、保証債務は相続開始の時点ではまだ請求が来ておらず、後になって発覚することが多いという点です。そのため、保証債務の存在を知らなかった事情によっては、起算点が遅れると判断される裁判例もあります。期限を過ぎてしまったと諦める前に、まずは専門家に相談することをおすすめします。


まとめ

相続財産を調べるときは、預貯金や不動産だけで安心せず、「保証人になっていなかったか」という視点も欠かせません。見えない負債は、相続が始まってから初めて表面化することがあるためです。特に会社経営に関わっていた方や、金融機関からの見慣れない郵便物がある場合は、早めに専門家へ相談し、保証債務の有無を確認しておきましょう。

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