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親が買ったはずの土地なのに、登記簿の名義が別人だった

親が買ったはずの土地なのに、登記簿の名義が別人だった

「この土地は、親が若い頃に買ったと聞いています。家もそこに建てて、何十年も住んでいました」

相続の手続きで登記簿を取り寄せてみると、所有者として記載されているのは、聞いたこともない人の名前でした。固定資産税はずっと親が払ってきましたし、近所の人も「ここは昔からお宅の土地だ」と認識しています。それでも、登記簿上は別人の名義のままです。

こうなると、単純に「親が亡くなったので相続登記をする」というだけでは話が進みません。相続人としては、「自分の家の土地のはずなのに、なぜ知らない人の名前が出てくるのか」と戸惑うところから始まります。


相続登記の前に、所有権そのものを確認する必要がある

相続登記は、亡くなった方の名義から相続人の名義へ移す手続きです。しかし、そもそも登記簿上の所有者が親になっていないのであれば、「親の名義から相続人へ」という前提が成り立ちません。登記簿という公の記録の上では、親はこの土地を所有したことが一度もない人、という扱いのままになっているのです。

固定資産税を何十年も払っていたという事実だけでは、登記簿上の所有者は変わりません。税金を誰が払っていたかと、法律上誰が所有者なのかは、別の問題として扱われます。市区町村が固定資産税を請求する相手は、登記名義そのものではなく、実際にその土地を使っている人や管理している人であることも多いためです。まずは、その土地が本当に親のものだったのかを、何らかの形で確認する必要があります。


「親が買った」ことを示す資料があれば

当時の売買契約書、代金の領収書、不動産業者とのやり取りが残っていれば、それが手がかりになります。これらの資料から親が買主であったことが確認できれば、本来は売主から親へ所有権を移す登記をしたうえで、親から相続人への相続登記へと進むことになります。

ただし、売買契約の当事者である売主の協力がなければ、この登記は原則として進められません。売主が存命であれば、事情を説明して協力を依頼することになりますが、売主がすでに亡くなっている場合は、売主の相続人を探し出し、同じように協力を得る必要が出てきます。売買の時期が古ければ古いほど、売主の相続人も増え、所在が分からなくなっていることも珍しくありません。半世紀以上前の売買となると、売主自身の身元すらたどるのが難しいこともあります。


資料が残っていなくても、諦めなくていい方法がある

厄介なのは、売買契約書のような直接の証拠がまったく残っていないケースです。ここで検討の余地があるのが、取得時効という制度です。

所有の意思を持って、平穏かつ公然と、長期間にわたって土地を占有し続けていれば、たとえ登記名義が別人のままであっても、時効によって所有権を取得できる場合があります。占有を始めたときに自分が所有者だと信じ、そう信じたことに落ち度がなければ10年、そうでなくても20年、占有を続けていれば認められる可能性があります。

今回のケースのように、親が数十年にわたって土地を使い続け、固定資産税も払い続けてきたという事実は、まさにこの取得時効を主張するうえでの重要な材料になります。契約書そのものが見つからなくても、売買があったことをうかがわせる間接的な事情がそろっていれば、時効取得という形で所有権を整理できる余地が出てきます。最初から諦めてしまう前に、検討する価値は十分にあります。


それでも、登記名義人の協力が必要になる場面はある

売買にせよ、時効取得にせよ、原則としては登記簿上の名義人、あるいはその相続人の協力を得て、共同で登記を申請することになります。相手が協力してくれない、あるいはそもそも見つからないという場合には、裁判を起こして所有権を確認してもらい、その判決にもとづいて単独で登記を申請する、という方法を取らざるを得ないこともあります。

どちらの道を選ぶにしても、まず必要になるのは、現在の登記名義人が誰で、その相続人がどこにいるのかを戸籍などから調べることです。この調査の結果次第で、話し合いで済むのか、裁判まで必要になるのかが変わってきます。


相続登記は、その後の話

いずれにしても、まず解決すべきは「その土地の本当の所有者は誰か」という問題です。これが整理できて初めて、親の相続財産として扱えるかどうかが決まり、通常の相続登記へと進むことができます。

順番を間違えて、いきなり親から相続人への相続登記の書類を用意しようとしても、法務局の窓口で登記簿上の所有者と親の名前が一致しないことを指摘され、そこで初めて問題に気づくということも起こります。

「親の土地だと思っていたら、登記簿は別人のままだった」という場合は、慌てて相続登記の書類を作る前に、まずは当時の資料を探し、占有の状況を整理するところから始めてください。

当時の資料がどこまで残っているか、取得時効を主張できそうな状況かどうかによって、進め方は変わってきます。このような登記の問題でお困りの際は、ご相談ください。高砂・加古川エリアで相続した不動産の名義についてお悩みの方は、後藤司法書士事務所までご連絡ください。

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