親が生前対策をしてくれないとき、子どもが考えておくべきこと
「遺言書のこと、一回考えてみたら?」
「認知症になったら困るし、何か対策した方がいいんじゃない?」
そう親に話してみても、
「まだ元気だから大丈夫」
「そんな話はまだ早い」
こう言われてしまい、話が進まないことは珍しくありません。
実際、生前対策はご本人の意思が必要になる場面が多く、子ども側だけで進めることはできません。
ただ、ここで
「親が嫌がるから仕方ない」
と考えてしまうのは少し危険かもしれません。
なぜなら、親御さん本人が何もしないまま認知症や介護が必要な状態になった時、子ども側が想像していなかった問題が一気に表面化することがあるからです。
今回は、親が動いてくれない場合でも子ども側で考えておきたいポイントをお話します。
1. もし急に、施設入所が必要になったら費用はどうしますか?
まず最初に考えたいのがお金の問題です。
例えば親御さんが転倒して入院した。
そのまま自宅での生活が難しくなり、施設入所を検討することになった。
こういうケースは珍しくありません。
その時、
・年金だけで足りるのか
・預貯金はどれくらいあるのか
・月額いくらまでなら継続できるのか
ここまで具体的に考えたことはあるでしょうか。
介護は数か月で終わるとは限りません。
想像以上に長期化することもあります。
「何とかなるだろう」
では済まないことがあります。
2. 費用が足りないなら、実家を売却することになるかもしれません
施設費用が長期間続けば、
預金や年金だけでは足りない
というケースがあります。
その場合、実家を売却して費用を捻出することも現実的な選択肢になります。
ただここで問題があります。
親御さん名義の不動産は、家族だから自由に売れるわけではありません。
もし認知症などで判断能力が低下してしまうと、
本人が契約内容を理解できない以上、売却手続きそのものが難しくなることがあります。
つまり、
家はある。売ればお金になる。なのに売れない。
こういう状況が実際に起こります。
3. そもそも、その家は本当に親名義でしょうか
かなり多いので、一度確認してほしいポイントです。
実家について
「当然親名義だと思っていた」
ところ実際には
・亡くなった祖父名義のまま
・親と祖父の共有名義
・昔の相続登記が終わっていない
こういうケースは珍しくありません。
もしそうであれば、認知症対策以前に別の問題が発生している可能性があります。
いざ売却しようと思った時に、想定していなかった手続きが必要になることがあります。
4. 親は「この家は長男に継がせるつもり」と思っていませんか
親世代によくあります。
「この家は長男にやるつもりや」
「兄弟仲いいから話せば分かるやろ」
こう考えているケースです。
ただ当然ですが、
思っているだけでは法的効力はありません。
他に相続人がいれば
遺留分
の問題も出てきます。
子ども側が
「親はこう考えているはず」
と思っていても、何も準備していなければその通りにいかないことがあります。
5. 認知症になってからでは、できなくなることがあります
ここは非常に重要です。
認知症などで判断能力が低下すると、
・遺言書の作成
・家族信託
・任意後見契約
こういった対策は難しくなることがあります。
場合によっては
成年後見制度
を検討せざるを得ないケースもあります。
そして成年後見制度は、
「家族が自由に財産を動かすための制度」
ではありません。
思っているより制約があるケースもあります。
「親がまだ大丈夫と言っていた」では済まないことがあります
認知症対策というと、
遺言書
家族信託
任意後見契約
こういった制度ばかり注目されがちです。
ただ現実には、その前の段階で
親がまったく動いてくれない
というケースも非常に多いです。
その場合でも、一度考えておいてほしいことがあります。
もし明日、
親が入院したら。
施設費用が必要になったら。
預金だけで足りなかったら。
家を売る必要が出てきたら。
その時、本当に家族だけで対応できるでしょうか。
何も準備しないまま認知症が進んでしまうと、
親のお金はあるのに使えない
家はあるのに売れない
こういったことが実際に起こります。
「まだ大丈夫」
その言葉をそのままにしてしまうことが、一番危険かもしれません。