たとえば、長男が一人いる時点で、父親が「自宅を長男に相続させる」という遺言書を作ったとします。
その数年後、次男が生まれました。
「遺言書を作ったときには次男はいなかったので、この遺言書は無効になるのでは」と考える方もいらっしゃいますが、子どもが生まれたからといって、それだけで以前に作った遺言書が無効になるわけではありません。
ただし、子どもが生まれたことで、相続関係は変わります。
そのため、遺言書をそのままにしておくのが本当に希望どおりなのか、改めて確認する必要があります。
子どもが生まれても、遺言書は自動的に無効にはならない
「自宅を長男〇〇に相続させる」という遺言書を作った後に次男が生まれたとしても、その遺言書が自動的に消えてなくなるわけではありません。
遺言書の内容そのものが有効であれば、原則としてその内容に従って相続することになります。
ただし、ここで注意したいのが、新しく生まれた子どもも相続人になるという点です。
新しく生まれた子どもも相続人になる
父親が亡くなった時点で、長男と次男がいれば、次男も父親の相続人です。
「遺言書を作ったときには、まだ次男が生まれていなかった」という事情とは関係ありません。
遺言書を作った後に生まれた子どもであっても、父親が亡くなった時点で相続人であれば、法律上の相続人として扱われます。
ここが、この問題を考えるうえで重要なポイントです。
「長男に全部」という遺言なら、次男との関係はどうなる
父親が「全財産を長男〇〇に相続させる」という遺言書を作っていて、その後に次男が生まれたとします。
「次男が生まれたから、長男に全部渡すという遺言は無効になる」ということではなく、遺言そのものは、原則として効力を持ちます。
つまり、この遺言を書き直さないまま父親が亡くなれば、次男が生まれようと、長女が生まれようと、実際に相続が発生したときには、全財産を長男だけが相続することになります。
次男や長女が生まれたことによって、自動的に相続分が調整されたり、遺言の内容が書き換わったりするわけではありません。
次男も父親の子である以上、相続人となり、遺留分が認められる立場になります。
ただし、遺留分は黙っていても認められるものではなく、次男の側から長男に対して遺留分侵害額請求をして初めて問題になります。
遺言書が有効かどうかという問題と、遺留分の問題は別のものです。

「次男にも財産を残したい」なら、書き直したほうがいい
父親として、「長男にも次男にも財産を残したい」と考えている場合はどうでしょうか。
この場合、以前作った遺言書をそのままにしておくのではなく、新しく生まれた子どもを含めて、遺言の内容を見直すことをおすすめします。
「自宅は長男〇〇に相続させる」という遺言を作っていたとしても、「次男には預貯金を渡したい」「長男と次男に財産を分けたい」など、家族が増えたことで希望が変わることがあります。
その場合は、現在の家族関係と財産の状況に合わせて、遺言書を作り直したほうが分かりやすくなります。
一方で、必ず書き直さなければならないわけではありません。
「自宅は長男に相続させたい」という希望が変わらず、「次男についても遺留分を含めて考えたうえで、この内容でいい」と判断しているのであれば、遺言書を作り直さないという選択もあります。
大切なのは、子どもが生まれたことによって、自分が希望している財産の分け方と、現在の遺言書の内容が合っているかを確認することです。
遺言書を書いた後に家族が増えたら、一度見直してみる
子どもが生まれた後も、以前の遺言書が当然に無効になるわけではありません。ただ、新しく生まれた子どもも相続人になるため、遺言の内容によっては遺留分の問題が生じます。
「長男に自宅を渡したい」のか、「長男と次男の両方に財産を残したい」のか。家族が増えたタイミングで、一度遺言書の内容を確認しておくと安心です。
高砂市・加古川市で遺言書の見直しをお考えの方へ
遺言書を作った後に子どもが生まれた場合、以前の遺言書はそのままでいいのか、新しく生まれた子どもについて何か書いておいたほうがいいのか、長男に自宅を渡したいけれど次男との関係はどう考えればいいのか。
こうした点は、家族構成の変化に合わせて遺言書の内容を確認することが大切です。
後藤司法書士事務所では、高砂市・加古川市を中心に、遺言書の作成や見直しについてご相談をお受けしています。
以前作った遺言書がある方も、家族や財産の状況が変わった場合には、その内容を一度確認してみてください。